2021年7月1日木曜日

路線価、6年ぶり下落 コロナ禍で観光地や商業地の下落顕著

  国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2021年分の路線価(1月1日
時点)を公表した。

全国の平均変動率は前年比マイナス0・5%で、6年ぶりに下落した。新型コロナ
ウイルスによるインバウンド(訪日外国人客)需要の消失や、飲食店への営業自
粛・営業時間短縮要請の影響で観光地と商業地で下落傾向が顕著に表れた。

 都道府県別では、39都府県が前年から下落した。東京(マイナス1・1%)と
大阪(同0・9%)は8年ぶり、愛知(同1・1%)は9年ぶりに下落し、株高の影
響で地価が安定していた大都市圏も下落した。上昇したのは、福岡(プラス1・8
%)、宮城(同1・4%)、北海道(同1・0%)など7道県で、昨年(21都道府県)
の3分の1にとどまった。

 都道府県庁所在地の最高路線価の下落率(前年比)は、奈良市が最大でマイナ
ス12・5%。神戸市同9・7%、大阪市同8・5%、盛岡市同8・0%、東京都中央
区同7・0%と続き、22都市で下落した。
横ばいは17都市。上昇したのは8都市で、上位は仙台市プラス3・8%、千葉市同
3・5%、宇都宮市同3・4%の順だった。

 全国に524ある税務署別の最高路線価では、下落率が最も大きかったのは、大
阪市の繁華街・ミナミの中心部に位置する中央区心斎橋筋2(心斎橋筋)のマイ
ナス26・4%。外国人観光客の多い飛驒高山の岐阜県高山市上三之町(上三之町
下三之町線通り)の同12・7%、奈良公園に近い奈良市東向中町(大宮通り)の
同12・5%と続いた。上位10地点のうち5地点が大阪府内だった。

 東京は浅草寺に近い台東区浅草1(雷門通り)が昨年のプラス33・9%から下
落に転じ、マイナス11・9%と最も下落した。東京・銀座の文具店「鳩居堂」前
は1平方メートル当たりの価格が4272万円と36年連続で日本一だったが、前年比
は同7・0%だった。  昨年プラス50・0%と6年連続で全国トップの上昇率だっ
たスキーリゾート地の北海道・ニセコは、コロナの先行き不透明感から不動産取
引の停滞もあり、0・0%で横ばいに。昨年プラス40・8%だった那覇市の国際通
りはマイナス1・4%と下落に転じた。           「毎日新聞」