2020年9月29日火曜日

地価、下落局面に オフィス・住宅需要に変化 新型コロナ

 国土交通省が29日発表した基準地価は、新型コロナウイルスの影響に伴う
外出自粛や在宅勤務の普及を要因に、オフィスや住宅需要をめぐる先行き
不透明感が反映された。

訪日外国人旅行者の拡大が追い風となって大都市圏を中心に上昇基調にあ
った地価は下落に転じ、不動産市場が曲がり角を迎えている。
商業地は全国平均で2015年以来5年ぶりに下落した。訪日客消失を受けホ
テル需要が減少。企業が積極投資してきたオフィス需要もコロナで一変し
たためだ。「先行き懸念から移転計画の凍結や、在宅勤務に伴い面積縮小
の動きが相次いでいる」(オフィス仲介業者)という。  コロナ収束後は
一定の職場回帰も見込まれているものの、在宅・遠隔勤務の拡充を背景に
「職住近接のシェアオフィスをはじめ働く場所の選択肢は一段と広がる」
(別の仲介業者)との見方もある。創業間もない企業の間では日々の出社
を求めず本社・拠点をあえて地方に移す動きもあり、都心一辺倒だった需
要に変化の兆しが見られる。  柔軟な働き方が広がれば、住宅地でも郊外
や地方での購入を後押しする可能性がある。ただ、利便性の高い都心のマ
ンション人気は「安定している」(大手施工業者)と指摘されるほか「地
方のニーズの大きさが読めない」(大和ハウス工業)と慎重な見方も出て
いる。
                         「JIJI.COM」

2020年9月23日水曜日

武蔵小杉の人気急落の背景 コロナでタワマンの弱点が露呈

 コロナ禍で「理想の街」は激変した――多くの不動産業界関係者の実感を裏付
ける データが発表された。ライフルホームズが9月8日に発表した「コロナ禍での
借りて住みたい街ランキング(首都圏版)」だ。  同調査では、これまで通常ラ
ンキングで4年連続で1位だった「池袋」が5位に後退し 上位常連組の「三軒茶屋」
が11位、「川崎」が12位にまで後退した。代わってトップ に輝いたのは、神奈川
の「本厚木」、2位は東京東部の「葛西」だった。  一方、著しく人気を落とした
街もあった。ライフルホームズの「コロナ禍での問合 せ増加率ランキング」調査
で問い合わせ率が減少した街は、ワースト1位の秋葉原 (43.9%に減少)を筆頭に
笹塚、飯田橋、高田馬場、新宿、浅草橋など都心エリア に集中した。
 また、人気が急落した顕著な都市が神奈川・武蔵小杉だ。近年、住みたい街ラン
キ ング上位の常連に定着していた“セレブの街”だが、リクルート社が実施した20
20年の 最新版「住みたい街ランキング」では、前年の9位から20位に順位を落と
した。

 ターニングポイントとなったのが、昨年10月の台風19号による浸水被害だった。

 「憧れの街のタワマンが浸水に弱かったと分かり、需要が極端に落ちました。
8月末 に久しぶりに取引が成立しましたが、売買が成立した物件は、現在売りに
出ている 物件よりも坪単価で1割ほど値が低かったことが分かっています」
 そう明かすのは、不動産ジャーナリストの榊淳司氏だ。  台風19号による多
摩川の氾濫で、駅前の47階建てタワマンは浸水し、地下に設置 された配電設備
に水が流れ込んだ。その結果、停電と断水が発生。水洗トイレは流 せなくなり、
エレベーターは1週間以上もストップした。
  水害直後に本誌・週刊ポストがタワマン住民を取材すると、「停電中は30階
まで 階段で上り下りした」「トイレが使えない間は、ビニール袋に用を足し、
脱臭剤を 入れて捨てていた」などの声が聞かれた。

  関西地区では東京と異なる変化も

 さらに「コロナはタワマンの弱点を際立たせた」と、前出・榊氏が指摘する。

「タワマンは仕切り壁にコンクリートを使わない構造が多く、隣の生活音が聞こえ
やすい。緊急事態宣言中、『日中に隣の子供やテレビの音がよく聞こえた』という
人がかなりいました。密を避けるため、エレベーターに人数制限をかけたタワマン
では、『出かける時に降りられないし、帰る時には昇れない』との不満も出ました。
水害で停電した時のように徒歩で階段を登ることにもなりかねません」

 こうした事態に、将来への不安を隠せないでいる住民は多い。武蔵小杉のタワマ
ンに住む60代男性は、こう呟いた。

「会社を退職後、終の棲家にしようと購入したんです。人気の街だから資産価値は
落ちないと思っていたら、あの水害のせいで一気に先行き不透明になりました。
もう簡単に引っ越せない年齢だし、簡単に売りにも出せない。また同じような台風
が来たらどうなるか……と不安でなりません」

“タワマン天上人”となったはずが、災害と資産価値暴落に怯える日々──そんな“
地獄の老後”になるとは、男性も想像だにしなかっただろう。

 ちなみに関西地区では東京と異なる変化が起きている。ライフルホームズによる
「2020年住みたい街ランキング近畿圏版」では、前回調査で31位だった「本町」が
1位、同35位だった「堺筋本町」が3位に急上昇した。どちらも大阪城にほど近く、
オフィスや飲食街が多いエリアだ。

 他にも上位に挙がったのは、市内の中心街が多かった。

「大阪は新築マンションの供給がある地域が限られている。『本町』と『堺筋本町』
が上位にランクしたのは、この地域に大型マンションの建設が発表されたことと、
大阪全域にアクセスがいいことが評価されたのでしょう」(大阪市内の不動産業者)

                            「週刊ポスト」


2020年9月11日金曜日

「新型コロナウイルス関連倒産」は495件 今週中にも500件を超える見通し

2020年9月7日16時現在、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理また
は事業停止、負債1000万円未満・個人事業者含む)は、全国に495件<法的整理
424件(破産393件民事再生法31件)、事業停止71件>確認されている。
  9月7日は東京都や大阪府などで新たに6件が確認され、今週中にも500件を超え
る見通し。   都道府県別では「東京都」(122件)が最多。以下、「大阪府」
(53件)、「北海道」(25件)、「兵庫県」(24件)、「愛知県」(22件)、
「静岡県」(21件)、「神奈川県」(19件)と続き45都道府県で発生した。

態様・負債額別

 負債総額は、2533億4500万円(調査中を除く491件の合計)で、5億円未満
が403件(構成比82.1%)を占めている一方、100億円以上の大型倒産は(株)
レナウンなど3件(同0.6%)。
  発生月別では、2月(1件)、3月(17件)、4月(82件)、5月(80件)
6月(120件)7月(115件)、8月(78件)、9月(2件)で6月が最多。日別
では6月30日(15件)、4月30日(13件)、8月5日(12件)の順。

 

業種別件数上位

 業種別では、「飲食店」(69件)が最多。次いで「ホテル・旅館」(53件)
「アパレル小売店」(34件)、「建設・工事業」(33件)、「食品卸」(28
件)、「アパレル卸」(21件)、「食品製造」(20件)、「食品小売」(15
件)、「アパレル製造」(14件)が続く。

新型コロナウイルス関連倒産について

 「新型コロナウイルス関連倒産」とは、新型コロナウイルスが倒産の要因
(主因または一要因)となったことを当事者または代理人(弁護士)が認め、
法的整理または事業停止(弁護士に事後処理を一任)となったケースを対象
としている。個人事業主および負債1000万円未満の倒産もカウントの対象と
しているほか、事業停止後に法的整理に移行した場合、法的整理日を発生日
としてカウントしている。             「帝国データバンク」